カンデル神経科学を買った。

安部公房の本をよく読んでいた時期があって、全集を読んでみたり、エッセイや対談動画を読んだりみたりしていた。

エッセイの一つに「死に急ぐ鯨たち」というのがあって、そこには安部公房が注目していた分野が書かれていて、チョムスキー生成文法分子生物学、動物行動学などがあったと思う。

彼は1ページ書くのに1週間だったか1行書くのに1日費やしていたなんて話をどこかで見たんだけれど、その理由はとにかく彼の求める表現が出てくるまで待ち続けるというやり方を貫いていたかららしい。

その表現というのが、正確には忘れてしまったけど、その文章から生理的な不快感だったりを感じるようなリアルなものと言っていた気がする。それが安部公房の独特な文体と言われるものの根底にあったのだと思っている。

安部公房の考え方に出会ってからというもの、どんな小説を読んでも生理的な感覚を呼び起こす文体であるかを頭の片隅に置いて読むようになってしまった。

それで、生理的な感覚を呼び起こす文体とは何かということを少し考えるようになって、結局世界は脳だから、神経科学を勉強するのが一番早いんじゃないかということを思うようになった。

で、どうせなら少しお高くとも体系的な本を買って通読して、論文を読めるようになるべきだということで、「カンデル神経科学」を購入しました。

頭の中の小説世界の可能性について考えてみたいと思います。